2024年4月に読んだ本(2)

今回紹介する本

・水車小屋のネネ (著者)津村記久子

 

単行本は高いのですが、今年の全国本屋大賞ノミネート作品にも魅力的な作品が多いので

ついついAmazonでポチってしまいました。

 

【水車小屋のネネ】

 実母に大学の入学金を払えないと言われた18歳の姉が、同じく母の婚約者から厳しく

 躾られる8歳の妹を連れて新たな土地で生活をしていくところから話は始まります。

 18歳の姉(理佐)が探した住むところ(テレビと洗濯機付き)付きのそば屋の仕事。

 そこには「鳥の世話じゃっかん」とあり、ヨウム(オウム目インコ科)のネネと出会う。

 ネネはそば屋の前店主が飼っていたもので、そば屋の隣の水車小屋でそば粉挽きの見張りを

 していて、言葉を覚えたり喋ったりでき、姉妹はネネの世話をしながらこの土地での生活に

 馴染んでいきます。

 

 説明が長くなりましたが、この2人の姉妹とネネを中心に人との関わり、新たな出会いや

 別れが物語られており、家出に近い状況からのスタートですが、周りの人達に支えられ、

 助け合い健気に生きていく姿に心温まるものを感じました。

 

 10年単位で展開していく中での絶妙な出会い・別れがとても自然な感じがして、その中で

 姉妹が成長していく過程を微笑ましく応援しながらすいすいと読んでいくことができました。

 気がつけば、あっという間に最終話(2011年※第1話から30年が経過)って感じでした。

 現に約600ページでしたが1週間かかりませんでした。。。

 

 プチトラブル(親との再会や台風接近など)がありますが、各話ともに最後は前向きになれる

 ような終わり方で次の話(10年後)に引き継がれていく「優しい展開」?も印象的でした。

 

感想:

 同じく今年の全国本屋大賞ノミネートで前々回に紹介した「黄色い家」とは対照的で、こちらは

 社会の生きづらさの中でも地方のコミュニティによって健気に生きていく様子を見守るような

 気持ちで読了させていただくことができました。

 

 何気ない生活の中にネネというアクセントが効いており、人との関わりのありがたさ(厳しい

 環境でも乗り越えられる)が溢れ出る心温かくされた一冊でした。

表紙からも温かさが感じられますね。

 

この次はいよいよ大賞受賞した「成瀬は天下を取りにいく」を紹介します。

 

ほんとはノミネート作品全部読みたいのですが、全部単行本で購入するのはキツイので、これが

ノミネート作品ラストですかね〜