今月も一冊しか読めませんでしたが、割と重厚で読み応えがあると思いますので是非参考に
してみてください。
6月に読んだ本
・熱源 (著者)川越宗一
日露戦争から太平洋戦争にかけてのサハリン(樺太)でのアイヌとポーランド人のお話です。
主要な人物は樺太アイヌのヤヨマネクフ、ポーランド人のブロニスワフ・ピウスツキの二人。
読み始めた時は「もしかして短編集?」って思ってしまいましたが、太平洋戦争までの長い
時間を2人を中心に進んでいきます。
最愛の妻を天然痘で失ったヤヨマネクフ、一旦北海道に移住したものの亡き妻の願う故郷の
樺太に戻り、どうしたらアイヌが和人(日本人)やロシアに騙されずに生存していくことが
できるか苦悩する。
ピウスツキはポーランド再建のデモに巻き込まれて拷問を受けた末にシベリアに流刑となる
中でアイヌ民族と出会いその文化を調べることに生き甲斐を見出す。
その二人が第3章で出会い、アイヌ文化を残し継承していくこと、学校を開校しこれからの
時代にアイヌが飲み込まれないように語学を学んでいくことで話が進んでいく。
しかし、時代の流れが二人を翻弄していく。
ヤヨマネクフはアイヌ人を歴史に残そうと南極探検隊に志願する。
しかし南極点到達を目前に断念せざるを得なくなり泣く泣く引き返すが、「人」としての
力があれば生きていけると思い改める。
ピウスツキは学者としてアイヌ文化を残すことに邁進してく中でアイヌの女性と結婚し子を
授かることになるが、ポーランド再建を目指す自身の弟のユゼフ達に巻き込まれて妻と子を
残して故郷に帰る。しかし、武力を選ぶ弟と袂を分つこととなり最後は弟側の人間に撃たれ
アイヌの地に戻ることなく生涯を終えてしまう。
二人の「熱」に引き込まれるように読書が進んでいきます。
(最初は登場人物が全てカタカナの名前だったので覚えながら読むのに苦労しました。。。)
特に後半は戦争という生死を潜り抜けて進んでいくところではペースが上がりました。
あと、西郷従道・二葉亭四迷・大隈重信・白瀬矗などの歴史上の人物も随所に登場し
飽きのこない展開で最初をクリアすればとても読みやすい(読み進みやすい)と思われる
一冊でした。