先日発表されたばかりの芥川賞作品を一冊読みましたので紹介します。
今回紹介する本
・サンショウウオの四十九日 (著者)朝比奈秋
ご紹介:
主人公は周りからは一人に見える姉妹。
よくある二重人格ではなく、結合双生児という二人の体がほぼ半分で繋がっているという
「同じ身体を生きる姉妹」。
彼女たちの父親も約1年間、兄弟のお腹の中で過ごしたという胎児内胎児。
これまであまり深い交流がなかった叔父(いわゆる父親が胎児としてお腹の中で育てて
くれた兄)が亡くなったことで、姉妹は自分たちの片方が亡くなったらどうなるのか?を
考えさせられることになる。
感想:
流石に医師でもある作者さんですから、主人公たちの設定やその周りの世界観がかなり
リアルに描かれていました。
ただ、普段私たちが身近に感じにくい環境ですから、特に姉妹の状況を理解するのに
かなりのページが費やされており、そのおかげで姉妹の状況を理解することができました。
ストーリー的には伯父が亡くなって火葬場に行くところから四十九日を迎えて姉妹たちが
自分たちの存在についてそれぞれが考えるといった、特に伯父が亡くなった以外での
イベントが発生するわけではありません。
なので、どちらかというとこういった環境の中での性格や考えの大きく異なる姉妹の「死」や
「意識」への考えをどちらかが眠っている?ときに深く考える内容を伝えたい作品なのかなと
思いました。