2024年8月に読んだ本

先日発表されたばかりの芥川賞作品を一冊読みましたので紹介します。

 

今回紹介する本

・成瀬は信じた道をいく (著者)宮島未奈

・アルプス席の母    (著者)早見和真

 

1,成瀬は信じた道をいく

 

ご紹介:

 2024年全国本屋大賞受賞作「成瀬は天下を取りに行く」の続編です。

 今回も予測不能な成瀬の行動に目が離せませんでした。

 「ゼゼカラ」ファンの小学生(ときめきっ子タイム)、成瀬の大学受験(成瀬慶彦の憂鬱)、

 そして大学生となった成瀬がバイト先のフレンドマートでクレーマーとの万引き犯捜索

 (やめたいクレーマー)、そして表紙にも描かれているびわ湖大津観光大使としての活躍

 (コンビーフはうまい)、そして最後は成瀬が書き置きを残しての失踪?(探さないでくだ

 さい)の短編5話が全てつながっています。

 

感想:

 今回も成瀬に目が離せませんでした。

 どうしてもネタバレしないように感想を話すと大学生になっても「成瀬は成瀬」。

 周りには左右されないどころか、周りが成瀬を受け入れていくスタイルは前作と同じなの

 ですが、決して色褪せない成瀬の突き抜け感が相変わらず半端ないなって思わされます。

 そして今回新たに登場したキャラクターの中で特に父親である成瀬慶彦ですが、前作では

 母親は登場していましたが、こよなく成瀬(あかり)を大切に思う気持ちに相反して成瀬に

 振り回されて最後は幸せな気持ちになるというとてもアットホームな気持ちになりました。

 

 この分だと次作どころか成瀬は200歳まで突っ走り続けて私たちはずっとそれを追いかける

 ことができるのかな〜って思いました。

 

2.アルプス席の母

 

ご紹介:

 甲子園を目指す球児とその母親のストーリーです。

 関西の甲子園常連校(山藤学園)から声がかからず、その高校と甲子園出場を争う新鋭の高校

 (希望学園)の佐伯監督から直接スカウトを受け、関東から関西の高校に進学することを決意

 した息子(秋山航太郎)と夫を亡くして女手一人で育ててきた母(菜々子)がこれまでの生活を

 捨てて一緒に関西で仕事を見つけて生活していきます。

 初めは順調にレギュラー(エース)として成長していく航太郎ですが、やがて怪我や監督との

 軋轢、そして母、菜々子にも父母会での苦悩等が立ちはだかります。

 そして高校3年の夏、甲子園を目指す航太郎たち希望学園は甲子園出場できるのか?

 

感想:

 自分の息子も高校まで野球をしていましたし、小学校の時には一緒にコーチと妻は父母会と

 して親子一緒に野球に打ち込んでいたこともあって人間関係のドロドロ感とかが強く出ていたら

 嫌だなって気にしながら読み始めました。途中まではやはり親子二人ともうまくいかないことの

 方が多く少し読書ペースが落ちた時もありましたが、子供の成長(精神的)が親を助けて、

 周りの環境も相乗効果でマシになっていって後半はスカッとする気分で読了までスイスイ進み

 ました。

 野球の専門知識とかは無く、秋山親子の成長を見守るような感じで読めたのが良かったと思い

 ました。

 



いよいよ「読書の秋」と言いたいところですが、この猛暑の中、休日はエアコンの効いた部屋の

読書もいいもんだなと思いました。