仕事の都合で6月は読む余裕がなかったですが、これから徐々にペースアップしていきます。
今回紹介する本
2012年の本屋大賞1位受賞作で映画化もされて最近ではテレビドラマ化もされているよう
ですが、自分は小説が初めてとなります。
ご紹介:
出版社「玄武書房」では国語辞典「大渡海」の刊行計画を進めており、営業部で若干浮いた
存在の馬締光也が言葉への執着心が強いという噂によって辞書編集部に異動することになり、
持ち前の才能を発揮して辞書づくりをスタートさせていくことから物語は始まります。
また、馬締の学生時代からの下宿先の大家の孫娘である林香具矢に一目惚れし、同じ辞書
編集部の先輩である西岡正志に相談しながら「恋文」(行書体!)を買いて告白していくという
ラブストーリーも含まれています。
その後、時は流れて辞書作りから13年後、出版を翌年に控えて主任となった馬締の元に
元ファッション誌所属の岸辺みどりが異動してきます。
辞書作りの中心は馬締ですが、ここでは岸辺みどりの華のある部署から異動(左遷?)させら
れた感を感じる葛藤を持ちながらも徐々に辞書編集部の辞書作りに対する情熱に徐々に自分も
のめり込んでいく。そして彼女にも新たな恋が芽生える。
大きく二部構成で描かれながら「大渡海」がいよいよ完成を迎えていく。
感想:
超個性的な主人公の馬締さんですが、言葉に対しても恋愛に関しても一直線な「真面目」さん
なので、ヒロインである香具矢さんとも終始睦まじく進行し、第2章?の主人公となる
岸辺さんとも最初は否定的な目線だしたが徐々にお互いを認め合う関係になっていき、
安定したストーリーで、ハラハラドキドキではなく暖かく読み終えることができました。
かといってストーリー重視で辞書作りの内容を軽んじている訳でも無く、あるワードに対する
議論があったり紙の素材への拘りも描かれていて、とてもバランスが良いと思いました。